地域紛争、テロリズム、内戦について

 冷戦後の世界における地域紛争、テロリズム、内戦についてであるが、われわれは、今、冷戦後の世界においては、グローバルな冷戦後の世界では、国際紛争が起こりやすくなっている。

 マーティン・ファン・クレフェルトは、戦争の変遷の著書の中では、冷戦後の世界は、クラウゼヴィッツ的な総力戦は時代遅れになった。これからは非対称的な地域、紛争、テロリズムの時代だ。そして、地域、紛争、テロリズム内戦には誰しもが、巻き込まれると主張している。

 また、私見ではあるが、地域紛争、テロリズム、内戦はどこで起こるかが予測できず、どこでどう、終結するかがまったく見えないということだ。アフガニスタンイラク、シリア、イスラエルパレスチナ問題など、戦争の長期化は避けられない。

 核兵器の拡散、グローバリゼーションによって広がる難民危機、テロリズムによって、我々は不安定な社会にいる。

 私は安全保障上の問題を考えるとグローバリゼーションは規制すべきだと考えている。アンソニー・ギデンズの著作 暴走する世界においては、グローバリゼーションによって世界は不安定化し、我々の伝統、文化、価値観、生活様式を破壊し、根底から常識を覆すとしている。そして、グローバリゼーション後の世界の波に乗り、変化を受け入れ、その中で国家観を再構築しべきだと主張している。

 混迷化する冷戦後の世界において、われわれは今、変化の渦中にいるのではないであろうか。

ポスト冷戦論で読み解く予測された冷戦後の世界

 ポスト冷戦論について日本では、ポスト冷戦論というとなんとなく、ふわふわした抽象的な国連中心主義やリベラルな平和論を語りたがる人が多いが、実際は、アメリカのフランシス・フクヤマの歴史の終わり、サミュエル・ハンチントン文明の衝突、ジョン・J・ミアシャイマーの大国政治の悲劇などの著作などでポスト冷戦論を主張されていた。

 まず、フランシス・フクヤマの歴史の終わりでは、リベラルの民主主義がフランス革命ナショナリズムでヨーロッパに拡大、その後、西欧の民主化と共にファシズム共産主義との思想戦、イデオロギー戦に勝利し、冷戦後は自由民主主義が人類にとって普遍的価値観となり、リベラルデモクラシーの勝利宣言を行うというものであった。

 その後、サミュエル・ハンチントン文明の衝突においては、冷戦後の世界はイデオロギーではなく、それぞれの文明圏に属する国家が束になって結束し、文明観の違いから戦争が起こりやすくなり、文明の境界線を越えたフォルト・ライン戦争が起こりやすくなるというものであった。

 そして、西欧文明と儒教イスラム・コネクションによる戦争がこれからの21世紀の戦争であり、その戦争は2020年まで続くとされていた。

 最後のジョン・J・ミアシャイマーの大国政治の悲劇では、冷戦後の世界においては、世界情勢は第二次世界大戦や近代ヨーロッパ古典外交のように多極化し、バランス・オブ・パワー、勢力均衡論の観点から国際政治は動くと予測していた。

 そして、アメリカと中国との間での新冷戦を予測し、中国に対する封じ込め政策の必要性を主張し、幕を閉じる。

 

英米系地政学

英米地政学について

 今回は英米地政学についてであるが、マッキンダーの「デモクラシーの理想と現実」、ニコラス・J・スパイクマンの「世界政治と米国の戦略」についてである。

 英米地政学は最近、日本ではじょじょに広まってきており、本もたくさん紹介されている。しかし、本格的な地政学の本として紹介できるのは、古典的は英米地政学マッキンダーとスパイクマンではないかと考える。

 マッキンダーの有名な「東欧を制するものがハートランドを制し、ハートランドを制するものが世界島を静し、世界島を制するものが世界を制する」というユーラシア大陸の大国の世界戦略を見事にいい当てている点にある。

 そして、マッキンダーは、東欧防衛のためにフランス、イギリス、アメリカのヨーロッパとアメリカの軍隊をヨーロッパに駐留させ、ハートランドの脅威を抑止することが効果的だと論じた。

 また、スパイクマン地政学では、ユーラシア大陸がロシアや中国のような軍事大国に支配されれば、将来的にアメリカの安全は脅かされると論じ、ユーラシア大陸の外縁部であるリムランドの国家と連携して、ユーラシア大陸大陸国家を包囲分断し、ユーラシア大陸を支配できないようにすることを論じた。

 スパイクマンは、日本、イギリス、アメリカの海洋国家の海軍によって世界の海を支配し、中国やロシアが世界の海を支配することを阻止すべきと説いている。

サイバー戦争について

サイバー戦争について

 今回は、サイバー戦争についてであるが、サイバー戦争はいくつかの専門家に聞いてみたが、まず規制することが非常に難しいということだ。まず、国際法では、通常兵器と大量破壊兵器(WMD)の拡散を規制できていないので、これからは、サイバー戦用のコンピューターやプログラム、ウィルスを100%阻止することは難しいということだ。

 また、たとえ、ウィルスを阻止するファイアー・ウォールを構築しても、それを突破する方法は無数にあるため、結局はいたちごっごになってしまうというのだ。

 国際法第二次世界大戦のような総力戦を想定しているため、第二次世界大戦後の地域紛争、テロリズム、内戦、サイバー攻撃大量破壊兵器の拡散などに対処できていないという問題点がある。

 さらに、問題点として、原子力発電所、金融機関などのライフラインなどを破壊されると我々の生活が成り立たないということだ。

 これらに対して、どこまで対処できるのか。いわゆる笹川平和財団では、国を挙げてサイバー・セキュリティ庁の創設を提案している。日本の対応は非常に遅れているが、サイバー攻撃で非常に活発なのは、中国人民解放軍北朝鮮、ロシアなどである。

 さらに、イスラエルのサイバー戦部隊UNIT8200とアメリカ空軍、NSA(アメリカ国防総省シギント部隊)などが世界の最先端をいっており、日本でも最近、自衛隊サイバー防衛隊が設置されたが、まだ運用ノウハウはないという。さらに、警察の対サイバー要員が民間のサイバーセキュリティのコンテストに参加したが、一番最下位だったのが、警察であった。

 今後、おそらく、サイバー攻撃は主要国の重要な実戦部隊となるだろう。日本でもそうおうの対応が求められているはずである。

孫子、クラウゼヴィッツ、マキャベリなどの軍事古典について

孫子クラウゼヴィッツマキャベリなどの軍事古典について

孫子クラウゼヴィッツマキャベリなどの軍事古典はほとんど日本では読まれていない。

 読まれているといっても、一部の軍事研究者か自衛隊制服組ぐらいだろう。孫子クラウゼヴィッツに共通しているのは、戦争は極力やらないということだ。これは、日本の反戦平和主義による憲法護憲、核廃絶、平和人権福祉とは大きく異なるものだ。

 また、クラウゼヴィッツの「戦争は他の手段を持ってする政治(外交)の手段であると言った。まさしく、戦争の延長線上に外交があり、外交の延長線上に戦争がある。つまり、戦争と外交は渾然一体化している。

 私は戦争は外交の最終手段であり、国益や死活的利益に関わる重要地域への派兵や自国の主権が脅かされるときの自衛戦争に限定すべきだと考えている。

 また、孫子は不戦の戦争で敵を倒すことを理想としてる。マキャベリ君主論では、

自国軍からなる国民軍の創設を説き、君主は軍政と軍事訓練と軍事だけやればいいと書いている。

 これからの日本では、軍事古典をよむことは必須教養となるだろう。

集団的自衛権と安保法案、憲法改正の安全保障上の大転換

  集団的自衛権の限定的行使と安保法案、憲法改正による日本の安全保障上の大転換についてであるが、国連憲章における国連加盟国には個別的自衛権集団的自衛権が認められている。

 今までの政府公式答弁では、集団的自衛権保有すれど行使せずを国是としながら、なかなか踏み込んだ議論がなされなかった。

 今回は公明党の反対により、集団的自衛権は限定的行使となったが、今後は、より一歩踏み込んだ憲法改正に踏み切るべきだろう。

 まず、日本国憲法第9条はGHQが日本占領態勢下で作られて憲法であり、日本の現状には即していない。しかも、アメリカの相対的国力の低下と中国の軍事的台頭、北朝鮮からの核開発、ミサイル発射、拉致などの問題や朝鮮半島有事が現実化する可能性のある現在では、そのような空理空論で安全保障を語るのは危険とは言えないだろうか。

 また、プーチン政権下のロシアの軍事大国化によるウクライナ侵攻、中国の南シナ海問題、中東諸国の秩序の崩壊とテロリズムの国際化、トランプ政権下におけるアメリカ・ファーストによる保護貿易と国際的なナショナリズムの高まりを考えれば、

 日本国内で高揚するナショナリズムをテコ入れし、安倍政権の一強体制による憲法第9条第二項の改正が不可欠である。

 第9条第二項における「陸海空戦力の不保持と交戦権の否認」これが日本に安全保障論義を混乱させた諸悪の根源と言える。

 まさしく、今の日本では、憲法改正による本格的な国防議論が求められている。